ビジネスコミュニケーションにおいて『説得する』という行為は欠かせません。しかし、説得は相手を説き伏せることではありませんし、議論して言い負かすことでもありません。説得とは相手を自発的に動かすのが狙いです。

例えば連日のように残業が続いている状況で、直属の上司から「人手が足りないから、とにかく今いる人間で頑張るしかない」と言われてしまったら従わざるを得ませんよね。この場合、結果的には上司の言うとおりにするわけですが、部下たちが「納得」せずに嫌々やっているのであれば説得したことにはならず、「強制」になります。

「言う」→「納得する」というプロセスを経て自発的な行動に至った場合が説得するということになります。この際、説得される側は以下のようなプロセスを踏みます。

(1.)注意を向ける…聞こう(見よう、読もう)という態勢になるということ。
(2.)理解する…要求や説明の内容がわかる、つまり頭で理解するという段階。
(3.)納得する…この要求は受け入れるに値すると判断し、「その気」になる段階。
(4.)決断する…「やろう」と意思決定する段階。
(5.)実行する…実際に行動を起こす段階。

この5段階のうち、5番目の行動については、説得によるものでも強制によるものでも到達しますので、実質的には(1.)~(4.)までのステップが「説得」の中味といえるでしょう。

しかし、納得して行動するのと、強制されて行動するのとでは行動の「質」が違います。本人の意思による行動を促すビジネスコミュニケーションが説得ということになります。